休眠担保権の話(古い抵当権のこと)
当事務所の相続登記の仕事で、お客様の不動産登記簿をしらべてみたら、明治時代とか大正時代の古い抵当権が付いていた。というケースがあります。
これは、大昔の所有者が抵当権抹消登記をしないまま何十年も放置し、現代まで残ってしまったケースなのです。
意外かもしれませんが、司法書士業務の中でたまに出現するものなのです。
この古い抵当権を休眠担保といいますが、この休眠担保を抹消する場合は、少々やっかいな手続きになります。
通常、現在の所有者に聞いても、当時の状況が一切わからないし、書類もありませんので、司法書士が抵当権者の所在(法人の場合は閉鎖登記簿)などを調査したりします。
この場合、抵当権者又はその相続人が行方不明であるケースが多いのですが、これでは抵当権に関する債権の弁済を証する書類を発行する人が居ないことになります。
特殊ですが、この場合は改めて弁済供託という方法で再度弁済する必要があります。
行方不明の抵当権者は弁済額を受け取れませんので、代わりに国の供託所に対し弁済額を供託することで、抵当権者に対して弁済があったとみなされる制度です。
手順としては、閉鎖登記簿謄本を見て弁済期をしらべます。当時の債権額から、弁済期までの利息、弁済期から現在までの損害額を算出し、合計した金額を供託所へ弁済供託をします。
行方不明を証する書面とあわせて弁済供託書を取得して抹消登記手続きをすることが出来ます。
以上の理由から、住宅ローン(事業用ローン)の完済後、すみやかに抵当権を抹消しておけば、なんの問題もなく、売買または、子孫に対して相続することが出来るのです。