司法書士関根事務所の抵当権抹消登記の取り組み方
抵当権はローン借り入れの抵当権設定時から、返済完了まで20年~35年の期間がかかるものです。
一般の方は当時の抵当権設定契約書をみて登記申請書を作成してしまいますが、司法書士関根事務所はこの抵当権設定契約書のみでは、登記申請書等を作りません。
司法書士と一般の方の抵当権抹消登記の取り組み方の大きな違いは「登記簿の事前調査」です。
①登記簿の所有者の住所と申請人(現在の所有者)の住所の相違
抵当権抹消時の申請人の住所と登記簿上の所有者の住所は必ず合っている必要があります。
この事を見逃してしまうと、法務局へ抵当権抹消登記申請をしたが、申請人の現在の住所と登記簿上の住所が合っていないため、先に住所変更登記が必要と指摘され、抵当権抹消を取り下げて、結局、法務局を何回も往復するようになってしまいます。
抵当権抹消の申請時の所有者の住所と登記簿上の所有者の住所とが食い違うときは抵当権抹消申請は取り下げになるのです。
意外かもしれませんが、抵当権設定当時から25年~30年経過していますので登記簿の住所と現在の住所が食い違うケースは下記のように結構あるのです。
これは、市役所(役場)の住民基本台帳と法務局の登記簿(登記記録)が連動していないからです。
イ.本人は住所の移動をしていないのに、住所が変更になるケース。
「住居表示実施の場合」
役所などの政策で、地番表示の住所の地域に対して、住居表示の住所へ、新たに変更する場合があります。(住居表示実施区域へ変更という)
「区画整理の仮換地から本換地になった場合」
仮換地から本換地により、お住まいの個人の住所の所在地番が、新しい所在地番に変更になります。
市役所(役場)の住民票登録上の所在地番が変わっても、国である法務局の不動産登記簿上の所有者欄の住所は自動的に変更になりません。
市役所の住民票登録と法務局の登記簿は連動すると勘違いしてしまっている方は注意が必要です。
ロ.前住所の時に抵当権設定をして、その後、住所の移転があったが、登記簿の住所変更登記をしていない場合
この場合は、お客様は抵当権設定を銀行に任せている関係で、自分の土地・建物の住所変更登記をやっているかどうかはっきりと分からない場合が多いです。
②土地や建物などの不動産の表示の相違。
抵当権抹消登記申請書には不動産の表示を記入しなければなりません。
この場合、20年~30年前に作った抵当権設定契約書を見て不動産を記入する場合注意が必要です。
本人はなにもしていないのに行政の事業により不動産の表示が変わる場合があるのです。
20年~35年の返済期間の間で行政の事業の開始により、土地の所在、地番、地目、地積が変わる場合があります。
たとえば、抵当権設定当時以後に国土調査事業、区画整理事業、土地改良事業、道路買収などによって、土地の所在、地番、地目、地積などが変更される場合があります。
また、分筆や合筆が入ると、抵当権設定時の時と筆数がかわりますので、抹消洩れにも注意が必要です。
法務局へ抵当権抹消登記申請をしたが、申請書の不動産の表示と登記簿上の不動産の表示が合っていないため、補正するよう連絡があり、結局、補正のために法務局へいくはめになってしまった。
そのため、誤りのない正しい申請書を作成するためには、現在の自分の土地・建物の登記簿情報がどうなっているのか先に調べてから、申請書を作成することが重要になってくるのです。